説教塾

北アメリカの説教学を学ぶための文献表

平野克己『いま、アメリカの説教学は--説教のレトリックをめぐって』(説教塾ブックレット4、2006年、キリスト新聞社刊)より転載

    A) 説教のための参考図書
      1. 総論的なもの
        (1) Davis, Grady, Design for Preaching  --古典的テキスト(1958年)
        (2) Farmer, H. H., Servant of the Word  --コンパクトで古典的な説教論(1964年)
        (3) Fant, Clyde, Preaching for Today  --説教の教科書の佳作(1975年刊、第2版)
        (4) Craddock, Fred B., Preaching  --長く説教の教室で用いられてきたテキスト(吉村和雄訳『説教』)(1985年)
        (5) Long, Thomas, The Witness of Preaching  --クラドックのPreachingの次のテキストとして、現在の説教学の教室で最も用いられている標準的・総括的なテキスト。(1990年、改訂新版2005年)
        (6) Wilson, Paul Scott, The Practice of Preaching  --利便的・実践的なテキスト(1999年)

      2. 各論的なもの
        (1) Jacks, Robert, Just Say the Word! : Writing for the Ear  --副題に「耳のために書く」とあるように、口述的・聴覚的言語として、説教原稿を準備するための知恵。
        (2) Bartow, Charles, The Preaching Moment: A Guide to Sermon Delivery  --説教の「語り方」に焦点を当てた良質な助言
        (3) Childers, Jana, Performing the Word : Preaching As Theatre  --演劇としての説教、身体的表現者としての説教者。肉体の用い方についても具体的に提言
        (4) Ward, Richard F., Speaking from the Heart: Preaching with Passion  --パフォーマンス理論による説教、説教者の情熱について


    B) 事典・説教史
        (1) Lischer, Richard, ed., The Company of Preachers: Wisdom on Preaching, Augustine to the Present  --アウグスティヌスから現代に至るまでの神学者・説教者による説教をめぐる発言を収録した大部のアンソロジー。現在翻訳刊行準備中。
        (2) William Willimon & Richard Lischer, eds., Concise Encyclopedia of Preaching  --(加藤常昭監訳『世界説教・説教学事典』)
        (3) Brilioth, Yngve, A Brief History of Preaching  --簡潔な説教史としては古典的で最良のもの(1965年)
        (4) Osborn, Ronald, Folly of God : The Rise of Christian Preaching  --キリスト教説教史。レトリックの変遷についても言及。(1999年)


    C) 説教学
      1. 「説教のレトリック」に対する関心
        (1) Craddock, Fred B., As One Without Authority  --現代アメリカ説教学の出発点(平野克己訳『権威なき者のごとく』)
        (2) Craddock, Fred B., Overhearing the Gospel  --ビーチャー・レクチャー。聖書を「そっと聞く」こと、そしてそのようなものとして語ることの重要性を強調。『権威なき者のごとく』以後のクラドックの主著
        (3) Buttrick, David, Homiletic: Moves and Structures  --クラドック以降の書物で最も影響を与えた大部の説教学テキスト。聞き手の意識に残るような説教のレトリック、という点から、説教を言語の〈動き〉として捉える。
        (4) Buttrick, David, Preaching Jesus Christ: An Exercise in Homiletic Theology  --Homiletic以後の論考。
        (5) Lowry, Eugene, Doing Time in the Pulpit: The Relationship Between Narrative and Preaching  --物語理論と説教の関係についての論考。著者は「物語の説教」の主唱者。
        (6) Lowry, Eugene, The Homiletical Plot : The Sermon As Narrative Art Form  --説教の展開について、定型的な物語形式を提案
        (7) Eslinger, Richard, A New Hearing: Living Options in Homiletic Method  --クラドック以降の〈新しい説教学〉を代表する説教者による説教および説教論。
        (8) Long, Thomas, Preaching and the Literary Forms of the Bible  --聖書テキストの文学類型を生かした説教形式。

      2. 「説教の神学」に対する関心
        (1) Lischer, Richard, A Theology of Preaching: The Dynamics of the Gospel  --福音と教理に備わっているダイナミズムから来る説教のレトリック。〈新しい説教学〉の問題を指摘。(平野克己・宇野元訳『説教の神学』)
        (2) Lischer, Richard, The End of Words   --イェール大学のビーチャー・レクチャー。
        (3) Campbell, Charles, Preaching Jesus: New Directions for Homiletics in Hans Frei's Postliberal Theology  --若手の説教学者でありリシャー教授の弟子。ポストリベラリズムの神学に立ち、個人主義的・敬虔主義的神学に立つ〈新しい説教学〉の弱みを克服しようとする。
        (4) Campbell, Charles and Stan Saunders, The Word on the Street : Performing the Scriptures in the Urban Context  --都市教会において御言葉を生きることをめぐる論考集。
        (5) Lose, David, Confessing Jesus Christ: Preaching in a Postmodern World  --(2)と対論しつつ、「信仰告白を呼び覚ます」ものとしての説教ということを強調
        (6) Renser, Andre, Preacher and Cross  --レトリック偏重の説教に対して、新約聖書における説教者のエートスを描き出し、メッセージの内容は説教形式には収まらないことを主張。

      3. 聖書と説教
        (1) Achtemeier, Elizabeth, Preaching as Theology and Art  --著者は女性旧約聖書学者、近年逝去。聖書学者のパースペクティヴから聖書解釈と説教との関係を考察。
        (2) Achtemeier, Elizabeth, Preaching from the Old Testament  --旧約聖書説教をめぐる論考。このほかにも、旧約聖書釈義と説教の関係について、同著者の著書は多い。
        (3) Brueggeman, Walter, Finally Comes the Poet : Daring Speech for Proclamation  --著者はThe Prophetic Imaginationの著作で知られる、最もよく読まれている旧約聖書学者のひとりであり、説教に対して旺盛な発言をしている。同書では、ことに詩篇と預言書の言語に焦点を当て、そこにある詩的言語、イマジネーションの言語の役割を指摘、現代の説教についても言及している。
        (4) Davis, Ellen, Imagination Shaped: Old Testament Preaching in the Anglican Tradition  --アメリカ聖公会の伝統に立ちつつ、旧約聖書説教について考察した論考。
        (5) Fee, Gordon, New Testament Exegesis: A Handbook for Students and Pastors   --釈義の作業全体にわたる技術を解説。説教者にとって役立つガイド。(永田竹司訳『新約聖書の釈義』)
        (6) James Thompson, Preaching Like Paul: Homiletical Wisdom for Today  --パウロの手紙を説教モデルとして捉え、説教を再考。(具志堅聖「書評Preaching Like Paul」『紀要説教(5)』参照)
        (7) Keck, Leander, The Bible in the Pulpit: The Renewal of Biblical Preaching  --批判的聖書学と説教をめぐる考察。
        (8) Rashaw, Gail, Liturgical Language: Keeping It Metaphoric, Making It Inclusive  --説教の言語・聖書の言語についての考察。
        (9) Wilder, Amos, Early Christian Rhetoric: The Language of the Gospel   --新約聖書への修辞学的アプローチの古典。

      4. 教会の行為としての説教
        (1) Nichols, Randall, The Restoring Word: Preaching As Pastoral Communication  --魂への配慮としての説教
        (2) Rosenberg, Bruce, Can These Bones Live? : The Art of the American Folk Preacher  --秀でた「民族的説教(アフリカ系アメリカ人の民族説教)」 についての考察
        (3) Tisdale, Nora Tubbs, Preaching as Local Theology and Folk Art  --説教における会衆理解。
        (4) Willimon, William, The Intrusive Word: Preaching to the Unbaptized  --未受洗者に対する説教をめぐるエッセイ、および説教。
        (5) Willimon, William, Peculiar Speech: Preaching to the Baptized  --教会の行為としての説教、教会の言語によって語られる説教という点に焦点を当てたエッセイ、および説教。

      5. アフリカ系アメリカ人の説教
        (1) Mitchell, Henry, Black Preaching: The Recovery of a Powerful Art  --アフリカ系アメリカ人の説教についての長年にわたる研究の成果。
        (2) Mitchell, Henry, The Recovery of Preaching
        (3) Spencer, Jon Michael, Sacred Symphony: The Chanted Sermon of the Black Preacher  --アフリカ系アメリカ人の説教の独特なリズムを考察。歌となりながら語られた説教を収録。

      6. メディア社会におけるパブリックスピーチ
        (1) Postman, Neil, Amusing Ourselves to Death: Public Discourse in the Age of Show Business  --メディア社会におけるコミュニケーション。


    D) 説教集など
      1. 現代の説教集
        (1) Buechner, Frederick, The Magnificent Defeat   --レトリックにきらめきを見せる説教集。
        (2) Cox, James, ed., Best Sermons   --その年の「名説教」を集めたコレクション。7巻(1994年)まで。
        (3) Farmer, David and Hunter, Edwina, eds., And Blessed Is She : Sermons by Women   --女性説教者たちによる。
        (4) King, Marin Luther Jr., Strength to Love   --(蓮見博昭訳『汝の敵を愛せよ』)
        (5) Long, Thomas, ed., The Chorus of Witness: Model Sermons for Today's Preacher   --さまざまな語り口による説教を集めたコレクション。現在翻訳刊行準備中。
        (6) Rutledge, Fleming, The Bible and the New York Times   --聖公会司祭。
        (7) Rutledge, Fleming, Help My Unbelief
        (8) Steimle, Edmund, From Death to Birth   --ルター派牧師。ルター派のラジオ番組「プロテスタント・アワー」で説教。
        (9) Taylor, Barbara Brown, Bread of Angels   --いま最も愛されている現役説教者。聖公会の女性司祭。
        (10) Taylor, Barbara Brown, Gospel Medicine
        (11) Taylor, Gardner C., Chariots Aflame  --アフリカ系アメリカ人、バプテスト教会牧師。マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの説教に大きな影響を与えた。

      2. 評伝など
        (1) Kelly, J. N. D., Golden Mouth: The Story of John Chrysostom   --ヨーアンネース・クリュソストモス。4世紀の東方聖教会の聖人のひとり。クリュソストモスとは名説教をたたえて与えられた姓で「金の口」の意。
        (2) Evans, G. R., ed., Bernard of Clairvaux: Selected Works  --クレルヴォーのベルナルドゥス。12世紀、シトー派の修道院院長・神学者。
        (3) Donne, John, Sermons   --ジョン・ダン。17世紀ロンドンの聖パウロ主教座聖堂の主任牧師。詩人としても知られる。
        (4) Lee, Jarena, The Life and Religious Experience of Jarena Lee   --ジャリーナ・リー。19世紀初頭のアフリカ・メソジスト監督教会の女性巡回説教者による自伝。
        (5) White, Charles, The Beauty of Holiness: Phoebe Palmer as Theologian, Revivalist, Feminist, and Humanitarian   --フィービ・ウォラル・パーマー。19世紀に活躍し、聖化運動の母と呼ばれる。
        (6) Blumhofer, Edith, Aimee Semple McPherson: Everybody’s Sister --マクファースン・エイミ・センプル。ペンテコステ派の独立伝道者。20世紀前半を代表する最も有名な女性説教者。
        (7) Miller, Robert Moats, Harry Emerson Fosdick: Preacher, Pastor, Prophet   --ハリ・エマスン・フォズディク。1931年創立のニューヨークのリヴァーサイド教会初代牧師。
        (8) Lischer, Richard, The Preacher King: Martin Luther King, Jr. and the Word That Moved America  --マーティン・ルーサー・キング・ジュニアを説教者として捉えた評伝。説教分析を含む。
        (9) Taylor, Barbara Brown, The Preaching Life   --バーバラ・ブラウン・テイラー。説教者としての自己形成を振り返る自叙伝。説教をも収録。